今週のごほうび、天理のラーメン ~BRZ マグネタイトグレー・メタリックで行く富田林から天理まで~
金曜日の夜、部下からの「確認お願いします」メールを最後の一通だけ片付けて、ようやくパソコンを閉じた。
※この物語はフィクションです。画像もすべてイメージです。

五十代の管理職というのは、なかなかしんどいもんで。上からは「数字」を求められ、下からは「相談」を持ち込まれ、横からは「調整」を頼まれる。気づいたら一日中、誰かのために動いとる。
せやから、土曜日の朝だけは自分のためだけに動く。
富田林のガレージでシャッターを開けると、そこにいた。
BRZ。マグネタイトグレー・メタリック。

このグレーがまたええんや。派手やない。でもただの灰色やない。光の当たり具合によって、鉄の重みやら、朝霧の色やら、いろんな顔を見せてくれる。渋い、という言葉がこんなにぴったりくる色もそうそうない。
五十代のおじさんと、渋いグレーのスポーツカー。
我ながらええ組み合わせやと思っとる。(異論は認める。)
エンジンをかけると、水平対向四気筒のあの音がガレージに響いた。
低くて、均等で、少しだけ野性味がある。毎回聞くたびに「ああ、ええ車やなあ」と思う。五十代のおじさんが一人でうっとりしとる図は、傍から見たらなかなかシュールやと思うけど、ええんや。誰も見てへんし。
さて、目的地は天理。
距離にして約三十キロ。高速を使えば早いけど、今日は下道で行く。急ぐ理由がどこにもない。それが土曜日の正解やから。

国道309号を北上して橿原あたりに差し掛かると、空がぐっと広くなってくる。
大和平野というのはふしぎなところで、山に囲まれとるのになぜか視界が開ける。
田んぼと古い町並みと、遠くの山のシルエット。奈良というのはいつ来ても時間の流れ方がちがう気がする。

BRZのステアリングが緩やかなカーブのたびに手に話しかけてくる。路面の継ぎ目、砂のざらつき、アスファルトの温度まで伝わってくるような気がして——もちろん気のせいやけどそれがまた楽しい。
気づいたら鼻歌を歌っとった。
何の曲やったかは、ちょっと恥ずかしいので言わんけど。
天理の市街地に入ると独特の空気がある。
白い法被姿の人がちらほら歩いてて、参道の雰囲気があって、なんとなく背筋が伸びる。そういう街やねん、天理というのは。

お目当ての天理のラーメン店に着いたのは昼前。駐車場にBRZを停めて一度振り返る。
マグネタイトグレーが奈良の白っぽい光の中でしずかに光っていた。
渋いな。
自分の車を眺めて、一人でにやにやする五十代。それでええんや。
カウンターに座ってラーメンを注文する。
天理のラーメンといえば、白菜とニラたっぷりの醤油ベースにラードのコク。見た目は豪快やのに、食べてみると意外とすっきりしとる。このギャップが、またええ。

一口すすった瞬間、今週の疲れがするするっとほどけていく気がした。
会議のこと、数字のこと、部下のあのメールのこと——全部どこかへ行った。
ラーメン一杯に全部持っていかれた。
安いもんやな、五十代の癒しというのは。
そう思いながらまた一口すすった。
帰り道、来た道をゆっくり戻る。
おなかいっぱいで、少し眠たくて、でも妙に満たされていて。BRZのシートに深く座り直してステアリングを軽く握る。
このグレーの車で、一人で、ラーメンを食べに来る土曜日。
傍から見たらなんでもない休日やろう。でも、これがええんや。誰かに説明できるような立派な理由はない。
ただ、走って、食べて、また走る。それだけで月曜日からまたがんばれる気がしてくる。
管理職というのは、このくらいの燃料補給で動いとるもんなんや。
富田林のガレージにBRZを戻してエンジンを切る。
静かになったガレージで、しばらくそのまま座っていた。
来週もきっといろいろあるけど、まあ、ええか。
天理のラーメンを食べた胃袋とマグネタイトグレーのBRZがそこにある。
それで十分や。
BRZ マグネタイトグレー・メタリックの詳細・在庫状況は、ぜひ店頭スタッフまでお気軽にお問い合わせください。
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